大規模研究、適度な飲酒でも生涯のがん・障害・早期死亡リスク上昇と指摘

研究者らは、どの飲酒量でも全体的な健康上の利点は確認されず、週14杯では死亡リスクが25人に1人に達すると推計した

2026年11月3日(火)

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大規模研究、適度な飲酒でも生涯のがん・障害・早期死亡リスク上昇と指摘

米国とカナダの研究者による大規模研究で、適度な飲酒であっても、生涯にわたるがん、心疾患、障害、早期死亡のリスク上昇と関連することが明らかになった。少量の飲酒なら広く安全、あるいは有益かもしれないという長年の見方に疑問を投げかける結果だ。

Journal of Studies on Alcohol and Drugsに掲載され、11月1日にコロンビア大学メールマン公衆衛生大学院が公表したこの研究は、7,200本を超える科学論文を精査し、その知見を米国の健康データと組み合わせて、生涯にわたるアルコール関連の害を推計した。研究者らによると、アルコールに関連する疾病やけがを幅広く総合的に考慮した場合、どの飲酒量でも全体としての予防効果は確認されなかった。

コロンビア大学の疫学教授で、研究の共著者でもあるKatherine M. Keyes氏は、論文とともに公表された資料の中で、「この研究は、アルコールに起因する死亡および罹患の生涯リスクについて、現時点で最も包括的な米国の推計を示すものです」と述べた。また、「適度な飲酒であっても、早期死亡や障害のリスクを高める」ことが研究結果から示されたと語った。

筆頭著者で、トロント大学の准教授を務めるとともに、世界保健機関(WHO)および汎米保健機構(PAHO)の依存症・メンタルヘルス協力センターの上級研究員でもあるKevin Shield氏は、飲酒量を問わず結果は同じ方向を示していると述べた。「少量の飲酒にも健康リスクがあります。そのリスクは、飲酒量が増えるほど高まります」

研究では、飲酒との因果関係がすでに確立されている疾患を対象とした。心血管疾患、肝疾患、けがのほか、口腔がん、食道がん、乳がんなど複数のがんが含まれる。個別の疾患を一つずつ見るのではなく、生涯を通じたアルコールの健康影響全体を推計しようとした。

このアプローチは、論文の中心的な主張を理解するうえで重要だ。中程度の飲酒が特定の心血管系の問題を防ぐのに役立つ可能性があるという見方は、長年にわたり一部の研究や一般の議論で示されてきた。新たな分析でも、比較的少量の飲酒では、虚血性心疾患や脳卒中など特定の転帰について、そうした効果が認められるように見える場合があるとした。しかし、その可能性のある利点を、がん、肝疾患などアルコール関連の害と比較すると、全体のバランスは逆方向に傾いた。

研究者らによると、アルコール飲料を週7杯飲む人でさえ、関連するすべての疾患を含めると、全体的な健康上の利点は認められなかった。また、男女ともに、1日1杯を超える飲酒は健康リスクの上昇と関連していた。

特に注目を集めそうな結果の一つは、多くの米国人が適度と考えるかもしれない飲酒量に関するものだ。研究者らによると、1日2杯の飲酒は、アルコールに起因する早期死亡の生涯リスクを大幅に高めることと関連していた。論文の掲載誌情報には、週14杯で死亡リスクが25人に1人まで上昇したと記されている。

この研究は、「1杯」の定義をめぐる実務上の難しさも指摘した。一般に標準的な1杯は、ビール約12オンス、ワイン5オンス、または蒸留酒1.5オンスに相当するが、実際のアルコール含有量は製品によって異なる。そのため、特にアルコール度数の高いビール、注ぐ量の多いワイン、自宅外で提供されるカクテルでは、本人が思っている以上に多くのアルコールを摂取している可能性がある。

この研究結果が発表された時点で、アルコールに関する連邦政府の指針は、以前より具体性に欠けている。現行の「米国人のための食事指針」は、飲酒する成人にアルコール飲料を控えるよう勧めているが、リスクを上乗せせずに飲める明確な1日当たりの量は定めていない。以前の指針では、男性は1日2杯まで、女性は1日1杯までとされていた。

著者らは、政策をめぐる議論に向け、より明確な推計を示すことも分析の目的の一つだったと述べた。研究と同時に掲載された論説で、米国薬物乱用・精神衛生サービス局(SAMHSA)の元副局長Robert M. Vincent氏は、2025~2030年版「米国人のための食事指針」の策定過程でアルコールに関する指針づくりに役立てるため、この研究が委託されたものの、その知見は適切に重視されなかったと記した。

この議論は、公衆衛生機関以外にも影響を及ぼす可能性がある。連邦当局、医療団体、または支援団体が、少量の飲酒でもリスクがあることを強調する、より具体的な助言へと舵を切れば、ビール、ワイン、蒸留酒の販売促進、表示、消費者向け健康情報での扱いに影響する可能性がある。また、適度な飲酒の主張に対する監視が強まる中で、飲食店、小売業者、生産者の対応にも影響を与えるかもしれない。

研究の著者らは、この分析が、飲酒する個人に何が起きるかを正確に予測するものではないと述べた。個人の転帰は、遺伝、年齢、性別、基礎疾患、食事、運動、喫煙、服薬、飲酒のパターン(大量飲酒を含む)によって異なる可能性がある。推計が示すのは集団全体の平均的なリスクであり、特定の個人に確実に起こる結果ではない。

著者らは、利用可能なエビデンスに限界があることも認めた。モデルは、最善と考えられる入手可能なデータに基づいて構築されたが、アルコールと長期的な疾病に関する科学的知見は今も発展している。膵臓がんなど、アルコールに関連する可能性のある害については、関連の強さや関与する飲酒量を明らかにするため、さらなる研究が必要だと指摘した。

それでも、この論文は、適度な飲酒が全体的な健康を改善するという考えに疑問を呈する研究の蓄積に加わるものだ。著者らによると、エビデンスが示すのは安全な飲酒量の下限ではなく、飲酒量の増加に伴って害も大きくなるということだ。アルコール関連の疾病や死亡の主な原因をすべて総合的に考慮すると、少量の飲酒にも全体としての利点はないとしている。

本研究はSynergy Enterprises Inc.と米国薬物乱用・精神衛生サービス局(SAMHSA)の資金提供を受けた。著者には米国、カナダなどの機関に所属する研究者が名を連ねており、米国人の生涯にわたるアルコールの影響を推計するための幅広い検討が行われた。

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