ボストン・ビア、販売量の低迷を受け通期見通しを下方修正
第3四半期の売上高は3.2%減、販売量は5%減。米国のアルコール需要の弱さを示す兆候が強まった
2026年10月23日(金)

ボストン・ビア・カンパニーは木曜日、第3四半期の売上高減少とディストリビューターからの需要低迷を受け、通期の販売量見通しを引き下げた。米国では、ビールメーカーをはじめとするアルコール飲料メーカーにとって厳しい市場環境が続いていることを示している。
ボストンに本社を置き、Samuel Adams、Twisted Tea、Truly Hard Seltzer、Angry Orchard、Sun Cruiserを手掛ける同社によると、9月26日までの四半期の純売上高は5億2,010万ドルとなり、前年同期の5億3,750万ドルから3.2%減少した。ディストリビューターから小売店への販売量を示すデプレッションは5%減、出荷量は4.9%減の約180万バレルだった。
ボストン・ビアは、販売量の減少はTwisted Tea、Truly、Samuel Adamsの販売低迷が主因だと説明した。Sun CruiserとAngry Orchardの成長が、減少分の一部を補った。四半期末時点のディストリビューター在庫は適正水準にあり、手持ち在庫は平均約4週間分だった。前年同期の4週間半から減少している。
会長兼創業者のジム・コーク氏は、需要環境は引き続き厳しいとしたうえで、業績と市場シェアの動向を改善するため、自社でコントロールできる施策に注力していると述べた。また、Sun Cruiserが好調な実績を上げたとし、ブランドへの投資を支えるため、引き続きキャッシュ創出と生産性向上に取り組むと説明した。
同社の業績は明暗が分かれた。売上高と販売量は減少した一方、利益率は改善した。売上総利益率は前年同期の50.8%から51.7%に上昇。製品構成の改善、値上げ、調達コストの削減、醸造所の効率向上が寄与したが、商品コストと関税の上昇が一部を相殺した。ボストン・ビアによると、当四半期の売上総利益率には、第三者生産に関する前払い金に伴う不足料と非現金費用として160万ドルが含まれ、利益率を約31ベーシスポイント押し下げた。
報告ベースの希薄化後1株当たり利益は4.21ドルで、前年同期の4.25ドルからわずかに減少した。当四半期には、サプライヤーとの紛争に関連する一時的な訴訟費用が1株当たり0.16ドル含まれていた。この費用を除いた非GAAPベースの希薄化後1株当たり利益は4.37ドルだった。
広告・販促・販売費は前年同期と同水準だったが、その裏では相反する要因が作用していた。ボストン・ビアによると、運賃は950万ドル増加した。出荷量の減少による効果を、輸送費の上昇が上回ったためだ。広告費は900万ドル減少した。一般管理費は、主に給与と福利厚生費の減少により210万ドル減った。
サプライヤーとの紛争は、引き続き同社の報告業績を圧迫した。ボストン・ビアによると、この問題に関連する第3四半期の税引き前費用は合計220万ドルで、弁護士費用40万ドルと判決後の利息費用180万ドルが含まれる。同社は、控訴手続き中に適用される判決後の利率を3.79%と見積もっている。この利率は、判決額と判決前利息の合計である税引き前1億9,100万ドルに適用される。同社は、サプライヤーとの契約に違反したとの主張を引き続き否定し、判決後の申し立てと控訴を行う意向だ。また、損害賠償金や利息が最終的に支払われるかどうか、また支払い時期を見積もることはできないとしている。
年初から39週間の期間では、法的紛争の影響はさらに大きかった。ボストン・ビアの年初来純損失は5,050万ドルで、前年同期の純利益1億3,100万ドルから赤字に転じた。報告ベースの希薄化後1株当たり損失は4.87ドルで、前年同期は1株当たり利益11.82ドルだった。同社によると、サプライヤーとの紛争に関する年初来の訴訟費用は合計1億9,450万ドルで、判決額1億7,550万ドル、判決前利息1,550万ドル、判決後利息350万ドルで構成される。関連する弁護士費用を含めると、税引き後の利益への影響は1株当たり14.51ドルだった。
訴訟費用を除けば、ボストン・ビアは調整後ベースで黒字を維持した。年初来の非GAAPベースの希薄化後1株当たり利益は9.64ドルだった。2026年の最初の39週間の純売上高は15億2,200万ドルとなり、3.6%減少した。デプレッションは5%減、出荷量は5.4%減の約540万バレルだった。売上総利益率は前年同期の49.7%から50.5%に改善。価格設定、製品構成、調達コストの削減、醸造所の効率向上が寄与した一方、商品コストと関税の上昇が一部を相殺した。
同社は四半期末時点で現金3億810万ドルを保有し、有利子負債はなかった。この現金に、今後見込まれる営業キャッシュフローと、1億5,000万ドルの融資枠の未使用分を加えれば、訴訟関連の支払いが生じる可能性も含め、将来の資金需要を賄える見込みだとしている。また、2025年12月28日から2026年10月16日までに7,950万ドル相当の自社株を買い戻した。取締役会が承認した買い戻し枠の残額は約1億4,900万ドルとなった。
ボストン・ビアは今年の販売量見通しも引き下げた。通期のデプレッションと出荷量は、いずれも一桁台半ばの減少を見込む。従来の見通しでは、一桁台前半の減少から一桁台半ばの減少までを想定していた。同社によると、10月17日までの年初来デプレッションは、2025年の同期間と比べて約5%減のままだった。
一方、利益見通しの一部は引き上げた。ボストン・ビアは、関税を含む通期の売上総利益率を49~50%と予想。従来の48.5~50%から上方修正した。関税コストの予想は2,000万~3,000万ドルから1,800万~2,200万ドルに引き下げた。現在のサプライヤー請求額と、第3四半期に受け取った300万ドルの返金を反映したものだ。広告・販促・販売費は前年比でおおむね横ばいと予想しており、従来の0~2,000万ドルの変動という見通しから変更した。非GAAPベースの1株当たり利益予想の下限は8.50ドルから9.00ドルに引き上げ、予想レンジを9.00~10.50ドルとした。設備投資計画は6,000万~8,000万ドルから5,500万~7,000万ドルに引き下げた。
通期の報告ベースの見通しには、引き続き訴訟の影響が反映されている。ボストン・ビアはGAAPベースの1株当たり利益を4.26~5.76ドルの損失と予想。従来の見通しは4.23~6.23ドルの損失だった。同社は、一時的な訴訟費用によって通期利益が1株当たり14.76ドル押し下げられる見込みだとしている。
同社は、2025年に実施したサプライチェーンの変更後、在庫水準がより安定してきたことから、第4四半期の出荷量は小幅な伸びを示す見込みだと述べた。また、第4四半期は通常、年間で販売量が最も少なく、売上総利益率も最も低い四半期だという。見通しの中央値では、不足料が2025年を下回るため、売上総利益率の前年比改善は第4四半期に最も顕著になると予想している。通期では、第三者生産に関する前払い金に伴う不足料と非現金費用により、売上総利益率が40~60ベーシスポイント押し下げられる見込みだ。
ボストン・ビアはクラフトビール、ハードティー、ハードサイダー、ハードセルツァーなど複数の主要飲料カテゴリーで販売しているため、今回の業績は同社にとどまらない意味を持つ。ディストリビューター向け販売の低迷と販売量見通しの引き下げは、米国の消費者によるアルコール飲料需要を測る新たな手掛かりとなる。需要の弱さ、運賃の上昇、関税圧力に直面するなか、飲料メーカーは出荷量、価格設定、製品構成の調整を続ける可能性がある。同社は2月の第4四半期決算説明会で、2027年通期の見通しを発表する予定だと述べた。