米国での業績急落を受け、Treasury Wine Estatesが170人を削減

Penfoldsを擁するTreasury Wine Estatesが非中核ブランドを売却し、ブランド数を30未満に縮小。年間1億豪ドルの削減を目指す

2026年10月24日(土)

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米国での業績急落を受け、Treasury Wine Estatesが170人を削減

Penfoldsを擁するオーストラリアのワイン会社Treasury Wine Estatesは、米国での業績が大幅に落ち込んだことを受け、世界全体で約170人を削減するとともに、複数のワインブランドを売却する。広範な事業再編に踏み切る。

同社によると、今回の人員削減は、2026年6月末時点で約2,700人だった従業員の約6%に当たる。削減対象は主にマーケティング、情報技術、財務などの管理・支援部門で、特にメルボルン本社への影響が大きかった。今回の削減は、Treasury Wine Estatesがブランド主導型の組織から地域別の運営体制へ移行するのに伴い、今月始まった大規模な見直しの一環だ。

10月1日に導入された新体制では、米州、大中華圏、オーストラリア・ニュージーランド・欧州、新興市場の4地域事業で運営する。新興市場はアジアのその他地域、中東、アフリカを管轄する。Treasury Wine Estatesは、地域チームが販売、マーケティング、事業戦略をより大きく担い、グローバル部門がその活動を支援すると説明している。Sam Fischer最高経営責任者(CEO)は、重複を減らし、責任の所在を明確にして、意思決定を迅速化することが狙いだと述べている。

再編は人員削減にとどまらない。Treasury Wine Estatesはブランド数を76から30未満に減らし、商品ラインも1,690から約738に縮小する計画だ。2029会計年度までに年間1億豪ドルのコスト削減を目指す。今後の投資は、世界展開するPenfolds、DAOU、Matuaを軸に、地域ごとの重点ブランドであるWynnsやPepperjackなど、より少数のブランドに集中させるという。

この取り組みの一環として、同社は戦略の中核ではないと判断した複数のブランドを売却する。Treasury Wine Estatesは10月12日、Rosemount、Ingoldby、Secret Stoneの各ブランドと関連在庫を、オーストラリアの家族経営ワイナリーA.G. Oatley Winesに売却すると発表した。売却額は公表していない。取引は10月23日に完了する予定だった。Treasury Wine Estatesは、最長3年間、欧州でRosemountワインを販売するロイヤルティー不要の権利を維持する。

Rosemountの売却により、同ブランドは1969年に創業した一族のもとに戻る。Bob Oatleyは2001年にRosemountをSouthcorpに売却した。その後、SouthcorpはFoster’s Groupに買収され、Foster’sのワイン事業は2011年に分離独立してTreasury Wine Estatesとなった。今回の取引に含まれる残る2ブランド、IngoldbyとSecret Stoneは、それぞれ南オーストラリア州のMcLaren Valeとニュージーランドに由来する。

今回の取引に先立ち、同社はほかのブランドも売却している。Treasury Wine EstatesはRouge HommeをRedman家に返還し、TollanaをSword Distributionに売却した。また9月には、ビクトリア州のブティックワイナリーStonierのCEO兼共同オーナーであるAaron Drummondが率いるグループに、Seppeltを売却することで合意した。こうした動きは、同社が優先度の低いブランドから速やかに撤退し、商品構成を簡素化していることを示している。

再編の背景にある圧力は、特に米国で強い。2026年6月30日終了年度に、Treasury Wine Estatesの米州事業の純売上高は5億7,500万豪ドルとなり、21.2%減少した。利払い前・税引き前・重要項目控除前利益(EBITS)は61.4%減の9,020万豪ドルだった。同社は、米国ワイン市場の需要低迷、上半期に実施したカリフォルニア州の販売網変更による混乱、さらに前年は流通経路を通じた実売を上回る出荷があったため比較基準が高かったことを、減益の要因に挙げた。

米国市場の過剰在庫は、同社だけでなくワイン業界全体にとっても課題となっている。Treasury Wine Estatesによると、在庫の圧力と消費者需要の鈍化が重なり、各カテゴリーの業績を押し下げている。オーストラリアやニュージーランドのワインを複数の市場で販売するTreasury Premium Brands部門も、業績が悪化した。同部門の純売上高は12.9%減の9億8,770万豪ドル、EBITSは47.8%減の6,800万豪ドルだった。

Treasury Wine Estatesは世界有数のワイン企業であり、米国はプレミアムワインにとって重要な収益源であるため、同社の一連の施策は自社の財務にとどまらない影響を持つ。ポートフォリオの縮小、商品ラインの削減、ブランド売却により、輸出市場で一部のワインの供給や流通のあり方が変わる可能性がある。大手生産者が米国の需要鈍化、在庫の積み上がり、利益率を守る圧力に対応するなか、今回の事業縮小は飲料業界全体が直面する厳しさも浮き彫りにしている。

事業のすべてが低迷したわけではない。同社の旗艦高級ワインブランドPenfoldsは、2026会計年度にアジアで好調だった。Treasury Wine Estatesによると、流通チャネルを通じたPenfoldsの世界販売量は同年度に増加し、中国では34.7%、アジアのその他地域では18.1%伸びた。この実績は、価格決定力の強いブランドや市場を絞り込み、そこに資本と経営資源をより多く振り向ける同社の戦略を後押しする。

Treasury Wine Estatesは、米国での事業立て直しを続ける一方、2027会計年度のEBITSは少なくとも2026会計年度と同水準になるとの見通しを示している。次回の業績発表では、同社が最大の西側市場で続く低迷に対処しながら、コスト削減、ブランド数の縮小、地域別の運営体制によって収益を安定させられるかどうかを早期に見極める材料が得られそうだ。

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