英国のホスピタリティー事業者の8割、コスト上昇で投資を先送り
夏の取引活況でもエネルギー費や食料品費の上昇を補えず、英国のホスピタリティー事業者は採用に慎重な姿勢を示している
2026年10月23日(金)

UKHospitality、British Beer and Pub Association、British Institute of Innkeeping、Hospitality Ulsterが共同で実施した調査によると、英国のホスピタリティー事業者の5社に4社が、運営コストの上昇によって投資が抑えられていると回答した。夏の取引が活況だったにもかかわらず、パブやバー、レストランなどが厳しい状況に置かれていることが浮き彫りになった。
調査では、回答者の80%が、現在の事業環境は投資を妨げ、その結果、成長や雇用機会を制限していると考えていることが分かった。業界団体は、エネルギー費や食料品・飲料費の上昇が、夏の来店客増加による収益を圧迫していると指摘した。
調査によると、過去3カ月間に電気料金が上昇したと回答した事業者は74%だった。ガス代の上昇を挙げた事業者は65%、暖房用燃料油の値上がりを報告した事業者は61%に上った。今後12カ月については、88%が税以外で最大の懸念として食料品・飲料のインフレを挙げ、80%がエネルギー価格を挙げた。
調査結果からは、売上の改善が業界の多くで収益性の向上につながっていないことがうかがえる。4団体は共同声明で、好天や大規模なスポーツイベントが続いた夏には、友人や家族と過ごすために外出する客を呼び込めたと述べる一方、「売上が好調であることと、利益が健全であることは同じではない」と付け加えた。
各団体は、エネルギー費が急増し、食料品・飲料のインフレも高止まりするなか、事業者は「これまで以上に懸命に働いているのに、得られるものは減っている」と述べた。この声明は、売上高を維持できている事業者が多い一方で、利益率への圧力が強まっているという業界全体の懸念を反映している。
調査では、税制が採用に及ぼす可能性のある影響も示された。回答者のほぼ半数に当たる48%は、業界の税負担が軽減されれば、若年層の雇用にさらに投資すると回答した。また57%は、雇用主が負担する国民保険料の料率が引き下げられれば、さらなる雇用喪失の防止に役立つと答えた。
業界団体は、今後予定されている予算案の発表を前に、調査結果をもとに政府への働きかけを進めている。多くの事業者が、コスト上昇のペースは利益率を回復させる力をなお上回っているとするなか、各団体は業界の税負担を軽減し、投資、成長、雇用を支える施策を求めている。
ホスピタリティー業界はビール、ワイン、蒸留酒、ソフトドリンクの主要な販売チャネルであるため、今回の警告は飲料業界にとっても重要だ。コスト圧力を理由にパブやレストランが事業拡大、改装、採用を先送りすれば、業務用飲料市場全体の仕入れや投資にも影響しかねない。調査はホスピタリティー業界全般を対象としたものだが、食料品・飲料のインフレ自体が、事業者が今後1年間に直面すると見込む主要な圧力の一つであることを示した。
British Beer and Pub Associationが調査に参加したことは、パブがより広範なコスト問題と密接に結び付いていることも示している。冷蔵設備、地下貯蔵庫の冷却、厨房機器、長時間営業に頼る店舗にとって、エネルギー費は特に影響が大きい。多くの事業者では、来店客が増えても、食品・飲料の卸売価格も高騰している状況では、光熱費の上昇によってその効果がすぐに薄れてしまう。
ホスピタリティー事業者は、インフレや人手不足、消費支出の変化に見舞われた困難な数年間を経て、回復を目指してきた。今回の調査は、需要が改善しても、改装や新規出店、従業員の拡充に資金を投じにくいコスト構造が依然として事業者を圧迫していることを示唆している。
今回の調査結果が発表されたのは、業界全体の事業者が税負担や人件費をめぐる政府の方針を注視するなかでのことだ。業界団体は、こうした負担の軽減は既存店舗の経営維持に役立つだけでなく、特に上昇する請求額を吸収する余地が小さい小規模な独立系事業者の採用や支出を促すことにもつながると主張している。
現時点で調査が示すのは、英国各地の幅広いホスピタリティー事業者に共通する見方だ。夏の取引活況は一定の追い風となったものの、エネルギー費や調達コストの上昇が続くなか、その効果では十分に補えず、多くの事業者が投資に慎重で、成長できるかどうかにも懸念を抱いている。