トランプ氏、アイリッシュウイスキーへの米10%関税を撤廃へ
この除外措置により他の欧州産スピリッツへの関税は維持され、より広範な撤廃の時期は示されていない。
2026年9月14日(月)

ドナルド・トランプ大統領は、アイリッシュウイスキーに対する米国の10%関税を撤廃すると述べ、米国市場向けの欧州産酒類輸出に重荷となってきた広範な貿易対立の中で、限定的な例外を設けた。
トランプ氏はアイルランド訪問の最後にこの発表を行い、ドゥーンベグで開かれたゴルフイベントの聴衆に対し、アイルランドの指導者らやほかの人々から対応を求められていたと語った。Reutersによると、トランプ氏は「みんなこの件で私に言ってきた」と述べ、アイリッシュウイスキーへの関税を外すつもりだと付け加えた。The Associated Pressが報じた別の公の声明では、トランプ氏は、あまりに多くの人がそうするよう求めたため関税を撤廃すると述べた。
この措置により、アイリッシュウイスキーの輸入に対して米国税関で課されている10%の税金がなくなる。トランプ氏は、変更がいつ正式に発効するのかの時期を示さず、他の欧州製品に対するより広範な関税も直ちに撤回される兆候はなかった。
アイリッシュウイスキーへの関税は、米国と欧州連合の長年にわたる貿易対立に端を発している。APによると、アイリッシュウイスキーは2019年、航空機補助金紛争に関連した報復措置に初めて巻き込まれた。Reutersは、この製品が今年トランプ氏のより広範な関税政策に加えられた変更の結果、現在は米国の10%関税の対象となっているEUのワイン・スピリッツ輸出品の一つだと報じた。両報道を合わせると、米国の欧州産品に対する関税の法的・政策的根拠が時とともに変化してきた一方で、アイリッシュウイスキーにはなお10%の輸入課徴金が残っていることを示している。
トランプ氏の最新発表は、アイリッシュウイスキーに限られたものとみられる。APによると、同氏はスコッチウイスキーへの関税も撤廃するかどうかは述べなかった。これにより、現在のところ大西洋をまたぐスピリッツ取引の重要な部分は手つかずのままで、ホワイトハウスは欧州とのより広範な合意を発表するのではなく、品目ごとの譲歩を行っていることがうかがえる。
アイリッシュウイスキー生産者とアイルランド政府関係者は、直ちにこの決定を歓迎した。APによると、アイルランド政府当局は米国に対し、輸出と雇用を損ねているとして関税の撤廃を求めていた。Irish Whiskey Associationもこの動きを称賛した。Reutersは同団体が、欧州および米国の関係者と引き続き協力し、すべての酒類輸出に対する「zero-for-zero」の関税制度の回復を目指すと述べたと伝えた。この制度は、主要市場間でスピリッツが追加の輸入関税なしに移動できるため、業界が長く支持してきた。
米国はアイリッシュウイスキーにとって最大かつ最も収益性の高い海外市場の一つであり、そのため対象を絞った関税政策の変更でも影響は大きい。10%の関税がなくなれば、米国の買い手の輸入コストは下がり、アイリッシュの生産者、米国の輸入業者、卸売業者、小売業者、そして同製品を扱うバーの利益率改善につながる可能性がある。また、小売価格への上昇圧力を和らげたり、販売数量の増加を支えたりする可能性もあるが、価格への反映度合いは各社が節約分をどのように転嫁するかに左右される。より広い飲料業界にとっては、大きな貿易紛争が未解決のままであっても、少なくとも一つのスピリッツ分野をめぐる不透明感を幾分和らげる可能性がある。
この発表は、ウイスキー業界を超えて政治的、象徴的な重みも持つ。アイリッシュウイスキーはアイルランドを代表する輸出品の一つであり、トランプ氏は訪問中、この決定を個人的かつ外交的な文脈で位置づけた。Reutersによると、トランプ氏はダブリンでの会談の際、この問題をアイルランドのミホル・マーティン首相(アイルランドでは taoiseach と呼ばれる)と協議したと述べた。また、発表を聴衆に伝える前に、ゴルファーのシェーン・ローリーからも働きかけを受けていたと明らかにした。
それでも、この変更でワシントンとブリュッセルの間のより大きな貿易問題が解決するわけではない。補助金やその他の貿易問題をめぐる対立は、これまで何度も報復措置の応酬を生み、関税率の一部が見直される中でも協議は続いてきた。APによると、貿易専門家や政治家はすでに、トランプ氏の発言を今後の交渉に影響し得る注目すべき通商政策の転換と受け止めていたが、いずれの側もより広範な合意は発表していない。
当面、直ちに表れる影響は市場の一角では明確だ。政権が公約どおり実行すれば、米国に入るアイリッシュウイスキーは、コストを押し上げ、貿易計画を複雑にしてきた10%関税の対象ではなくなる。なお不透明なのは、この措置がトランプ氏のアイルランド訪問に結びついた単独の譲歩なのか、それとも欧州産ワインとスピリッツへの関税緩和がより広がる始まりなのかという点だ。