レビュー研究、ブドウ畑の微生物がワインの地域性に寄与と指摘

地域の微生物群集がワインの化学組成や香り、味わいに結びつくことを示す10年分の研究を検証。因果関係などの課題も残る

2026年11月3日(火)

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レビュー研究、ブドウ畑の微生物がワインの地域性に寄与と指摘

7月20日付で学術誌Applied and Environmental Microbiologyに掲載されたレビュー論文は、ブドウ畑やワイナリーに生息する微生物が、ワインに固有の個性をもたらす地域要因の総体である「テロワール」を構成する重要な要素とみられると指摘した。土壌、気候、地形、ブドウ品種、人の営みといったよく知られた要因に加え、土地に結びついた細菌、菌類、酵母が発酵を形づくり、香りや味わいなどの官能特性に影響を与える可能性があると論じている。

Lena Flörl、Reid Griggs、Nicholas A. Bokulichが執筆したこのレビューは、研究者が「微生物テロワール」と呼ぶ概念に関する研究を検証している。この考え方では、収穫前後の地域固有の微生物群集が、産地の異なるワインの差に寄与する。著者らによると、この分野は過去10年で急速に発展し、現在では主要なワイン産地すべてから得られた証拠が蓄積している。ただし、因果関係、年ごとの変動、個々の菌株の正確な役割など、重要な疑問は残されている。

論文は、DNAシーケンシング研究により、ワイン用ブドウに見られる微生物が地域やブドウ品種、気候によって異なることが示され始めた2014年を転換点としている。その後の研究では、地域ごとの酵母の多様性や発酵前のブドウの微生物叢が、ワインの化学組成の違いと関連づけられた。レビューによれば、それ以降、多くの研究が、こうした微生物のパターンはワインだけでなく、チーズや熟成ハムなどの伝統的な発酵食品でも重要だという見方を裏づけている。

著者らは、微生物テロワールが従来のテロワールの意味に取って代わるものではないと強調する。むしろ微生物を、より大きな体系を構成するもう一つの層として捉えている。ブドウ畑では、微生物は風や昆虫、動物、人の活動を通じて環境中を移動する。微生物が定着するかどうかは、どの微生物が生き残り、増殖できるかを選別する地域の条件に左右される。そのため、近接する場所でも微生物群集が異なることがあり、同じ産地のワインでもヴィンテージごとに変化が生じる。

レビューによると、土壌はブドウ畑における微生物の主要な供給源だ。葉、花、果実のように寿命の短い植物部位に、季節ごとに微生物を再び供給する役割を果たす。また、樹皮も重要な供給源とみられる。ブドウ果皮の微生物が重要なのは、果実がブドウ畑からワイナリーへ運ばれる過程で果汁に入り、発酵の開始を助ける可能性があるためだ。土壌や樹皮では時間が経っても比較的安定した微生物群集が見られる一方、果実や葉は天候、昆虫など変化する条件にさらされるため、群集の変動が大きいという。

論文は、ブドウ畑の微生物叢の違いを生む主な要因が、場所ごとに異なる環境条件であることを示す強い証拠も紹介している。土壌の化学的性質、pH、斜面、標高、気温、水の利用可能性はいずれも、どの微生物が優勢になるかに影響するとみられる。場合によっては、同じブドウ畑内のわずかな環境差が、二つの畑の距離による差よりも大きな微生物の変異を生むこともあると著者らは指摘する。このため、微生物テロワールが人為的に引かれた地域境界ときれいに一致するものと考えないよう、研究者は注意すべきだという。

理論への反論としてよく挙げられる年ごとの変動について、レビューは矛盾ではなく、むしろ理論の一部として扱っている。天候が変わるため、ワインの品質はヴィンテージによってすでに変動する。著者らによれば、微生物群集も同じ年ごとの変化に反応しているようだ。果実の微生物叢がヴィンテージによって異なることは研究で確認されているが、変化の程度は地域によって異なる。気候パターンが変化し続けるなか、長期にわたる反復サンプリングが欠かせないとレビューは述べている。

ブドウ樹そのものも要因の一つだ。ブドウ品種が異なれば、果実、葉、根に生息する微生物群集も異なる場合がある。接ぎ木によって台木と穂木という二つの遺伝子型が一つの樹に組み合わさるため、微生物の取り込み方がそれぞれ異なる可能性もあり、状況はさらに複雑になる。植物の遺伝的特性の影響は一様ではなく、地域の条件やブドウ樹の生育段階によって異なるとレビューは指摘する。たとえば果実が熟すにつれて化学組成が変化し、酸度が下がり糖度が上がると、微生物群集は多様性が低く、発酵に関わる微生物が多い構成へと移行する。

ブドウ畑での人為的な判断も微生物の多様性を形づくるとみられるが、その影響を地域の環境条件から切り分けるのは難しいことが多いとレビューは述べている。耕起、被覆作物、肥料、殺菌剤、灌漑、さらにはブドウ樹の列の向きも、土壌条件や水分、光、気温を変え、それを通じて微生物群集に影響を与える可能性がある。土壌微生物への直接的な影響を示す研究もある一方、果実に付着する微生物との関連は一貫していない。近隣から飛来する粉じん、道路交通、その他の小規模な攪乱も、果実の微生物叢に影響しうると著者らは指摘する。

ワインの品質について、地域性に大きく寄与するのは菌類と酵母であることを示す証拠が最も強いとレビューは述べる。アルコール発酵は主に酵母が担い、菌類の群集は細菌よりも地理的なパターンが明確に表れることが多い。自然発酵の研究では、香りやワインの化学組成の違いとの結びつきは、細菌の多様性より菌類の多様性のほうが強いことが示されている。また、レビューは非Saccharomyces酵母の役割にも注目する。これは幅広い種を含むグループで、発酵初期に存在し、最終的に優勢にならなくても香りに複雑さを加える可能性がある。

論文によると、ほとんどのワインの発酵では最終的にSaccharomyces cerevisiaeが優勢になるが、発酵開始時の微生物群集も重要だ。存在量の少ない微生物であっても、香りに影響する化合物や酵素を放出することがある。著者らは、同じ種でも菌株によって発酵中の働きや官能的な結果が異なるため、菌株レベルの違いが特に重要だと述べる。研究上の課題の一つは、多くの研究が依然として、微生物を大まかな分類階級でしか特定できないシーケンシング手法に依存しており、菌株同士を区別しにくいことだ。

レビューは、テロワールの概念をブドウ畑の外にも広げている。ワイナリーの表面や設備、屋内環境は、ある仕込みや年から次へと持ち越される微生物の供給源になりうる。論文が引用する研究によると、ワイナリーに定着した微生物は、異なるブドウ畑の果実が持つ産地固有の特徴を消し去るわけではないが、発酵には影響を与える。市販酵母の添加、二酸化硫黄の使用、発酵温度の管理、低温浸漬、衛生管理といった方法は、地域固有の微生物群集の働きを抑えることも、引き出すこともある。

著者らは、この研究分野の実用的な応用として、腐敗のより適切な管理、発酵スターターの改良、より持続可能なブドウ畑管理を挙げる。また、時間をかけた反復サンプリング、ブドウ畑の区画配置や樹齢への配慮、微生物とその機能をより高い精度で特定できる新しいシーケンシング手法の活用など、より厳密な研究設計が必要だとしている。現在、最も難しい課題の一部は、土壌、ブドウ樹、果実、ワイナリーの間で微生物がどう移動するかを追跡し、各段階が最終的に瓶詰めされるワインにどれほど寄与するかを測定することだと論文は指摘する。

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