2026年上半期、世界のワイン輸出額は5.1%減の158億ユーロ
戦争や関税、インフレで世界のワイン貿易が縮小。主要カテゴリーで底堅さを保ったのはスパークリングワインだけだった。
2026年10月14日(水)

2026年上半期、世界のワイン輸出は金額、数量ともに減少した。戦争や関税、インフレが貿易の重しとなり、2025年に始まった低調な傾向が続いている。
各国税関のデータをTrade Data Monitorが集計し、スペインのワイン業界団体OIVEが分析したところ、2026年上半期の世界のワイン輸出額は158億ユーロとなり、前年同期比で5.1%減少した。数量は8.1%減の42億リットルだった。
世界のワイン貿易は2025年上半期に比べ、輸出額で約8億3,500万ユーロ、出荷量で3億7,910万リットルを失ったことになる。主要カテゴリー全体で需要が弱まり、世界有数のワイン生産国の生産者や輸出業者が引き続き厳しい状況に置かれていることを示す数字だ。
国際取引で最大のカテゴリーであるボトルワインが、全体の減少の大部分を占めた。1~6月の輸出額は106億3,000万ユーロで前年同期比6.1%減、数量は5.3%減の22億4,000万リットルだった。2025年上半期と比べると、輸出額は6億9,230万ユーロ、数量は1億2,450万リットル減少した。
バルクワインも大幅に縮小した。世界の輸出額は12.3%減の11億ユーロ、数量は14.5%減の13億8,000万リットルとなった。前年同期に比べ、輸出額は1億5,470万ユーロ、数量は2億3,410万リットル減った。
バッグ・イン・ボックスも減少したが、その幅は比較的小さかった。同カテゴリーの輸出額は3%減の3億3,480万ユーロ、数量は2.4%減の1億7,060万リットルだった。
スパークリングワインは、主要カテゴリーのなかで明確な落ち込みを免れ、上半期の取引はおおむね横ばいだった。輸出額は0.5%増の37億ユーロとなる一方、数量は0.6%減の4億7,650万リットルだった。この実績により、スパークリングワインは期間中、世界市場で最も底堅いカテゴリーとなった。
主要輸出国のなかで、フランスは輸出額で世界首位の座を維持した。上半期のフランス産ワインの輸出額は54億ユーロで、前年同期比2.2%減。金額にして1億1,980万ユーロの減少となった。
イタリアは数量ベースで最大の輸出国の座を保ち、上半期に9億8,640万リットルを出荷した。前年同期比では4%減だった。輸出額では2位を維持したものの、OIVEの分析によると、主要生産国のなかで減少額が最も大きかった。イタリアの輸出収入は6.2%減、金額にして2億3,820万ユーロ落ち込んだ。
そのほかの主要ワイン輸出国では、減少率がさらに大きかった。スペインのワイン輸出は8.2%減。ニュージーランドは11.7%減、チリは15.3%減となり、分析で取り上げられた国のうち最も大きく落ち込んだのは米国で、減少率は18.9%だった。
今回の新たな数字は、主要生産国の貿易統計にここ数カ月表れていた兆候を裏付ける。2025年は武力紛争や貿易障壁、インフレによる混乱がすでに目立っていたが、市場にはなお一定の底堅さがあった。2026年上半期にはその下支えがさらに弱まり、取引されたワインの量と輸出総額の双方が減少した。
今回の数字は、低迷が特定の価格帯や形態に限られないことも示している。世界の輸出の大半を占めるボトルワインは、売上高、出荷量ともに落ち込んだ。価格圧力や在庫戦略の変化の影響を受けやすいバルクワインは、さらに大幅に縮小した。バッグ・イン・ボックスも減少し、前年の水準に近い状態を保ったのはスパークリングワインだけだった。
生産者にとって、輸出額と数量の減少幅の差は、価格が出荷の落ち込みを十分には補えていないことを示唆する。世界の輸出量は輸出額より速いペースで減少したものの、両方とも縮小しており、価格構成や高級品としての位置づけだけでは、国際市場での需要軟化を補えなかった。
欧州の輸出業者にとって、上半期のデータは各国の市場環境へのさらされ方の違いを浮き彫りにしている。輸出額で首位に立ち、高価格帯のワインやスパークリングワインの比重が高いフランスは、イタリアやスペインより減少率が小さかった。一方、イタリアは販売が落ち込むなかでも、幅広いカテゴリーと市場に輸出基盤を持つことを背景に、数量ベースで最大の供給国であり続けた。スペインの減少幅がより大きかったことは、バルクワインなど、同国の輸出比重が高いカテゴリーで弱さが続いていることを示している。
ニュージーランド、チリ、米国の落ち込みは、低迷が欧州に限られていないことを示す。南半球や北米の輸出業者も年初の半年間に厳しい市場環境に直面しており、地域的な調整というより、世界的に広がる貿易の減速であることが改めて浮き彫りになった。
複数国の税関統計をTrade Data Monitorから取得してまとめたOIVEの分析は、2026年半ばまでの国際ワイン市場の動向を示す、最も早い段階の包括的な見通しの一つとなる。年初から各国で見られていたワイン貿易への圧力が、世界全体でも明らかになったことをデータは示している。