トスカーナのアンティノリ、ワイン3万本を盗まれる
被害額は500万ユーロとされ、内部事情に通じた疑いのあるグループがトラック2台でワインを運び去ったと報じられている。
2026年10月15日(木)
スペイン紙『La Rioja』の報道によると、イタリアを代表するワイン生産者の一つで大規模な窃盗が発生し、3万本が行方不明となった。被害額は500万ユーロと推定されている。
ここ数日の間に、トスカーナ州を拠点とする歴史あるワイナリー、Marchesi Antinoriからワインが持ち去られた。報道によると、窃盗は同州の町コルトーナにある同社施設で発生し、盗まれたワインはトラック2台で運び出された。
『La Rioja』は、少なくとも7人からなるグループが犯行に及んだと報じた。窃盗の規模や犯行の速さ、目立ったミスがなかったことから、グループが倉庫や警備体制について事前に詳しい情報を得ていた疑いが浮上している。報道によると、犯人らは保管施設の警備システムに加え、そこに置かれていたワインについても具体的な知識を持っていたようだ。
盗まれた在庫の価値から、グループが無差別に犯行に及んだのではないとみられるため、この点は事件の核心となっている。3万本を盗むには、計画や輸送能力、現場で作業する時間に加え、どの商品が合法・違法の市場で速やかに転売できるかを正確に把握する必要がある。この価格帯のワインは、専門の流通経路や個人収集家、レストラン、輸出網を通じて取引されることが多く、いったん持ち去られ、各地に分散すると、回収が難しくなる可能性がある。
Marchesi Antinoriは、イタリアで最も名声の高いワイナリーの一つだ。『La Rioja』の報道によると、1385年に創業し、26世代にわたって同じ一族が経営を続けている。長い歴史を持つ同社は、高級ワインと国内外での強い存在感によって、業界で国内有数の知名度を誇るブランドとなっている。
今回の被害額が注目を集めているのは、その規模だけでなく、熟成年数や産地、来歴が価格の一部をなす商品を扱う事業が被害に遭ったためでもある。高級ワインの場合、在庫の盗難は直接的な金銭的損失にとどまらない。明確な追跡可能性のないボトルが市場に再び現れた場合、買い手や業者、競売会社は真贋や所有権の合法性を問われる可能性がある。
報道にあるトラック2台の使用も、希少な銘柄を少数盗むのではなく、大量のワインを運び出す準備が整っていたことを示唆する。3万本の移動には、重量のある荷物の取り扱い、積み込み要員の手配、搬出経路の調整が必要だ。捜査当局は通常、犯行前に施設を監視していたか、地元で物流面の支援を受けていたか、あるいは倉庫の日常業務に詳しい人物の協力があったかを調べる。
警備システムに関する知識があったという報道を受け、内部手順や入退場管理、保管区域周辺における従業員や請負業者の動きにも、より厳しい目が向けられるとみられる。高価な農産物や高級品を狙った事件では、捜査当局が人員配置の最近の変更、外部業者による保守作業、輸送スケジュール、施設の警備上の弱点が明らかになり得る過去の事案などを調べることが多い。
報道には、逮捕者やワインの回収に関する追加の公式情報は含まれていなかった。また、公表された情報からは、グループが敷地内にどれほどの時間とどまったのか、警報が作動したのか、トラックがどのようにして直ちに阻止されることなく現場を離れたのかも明らかになっていない。
今回の事件は、高級在庫を狙う組織的な窃盗に対するワイン業界の懸念を強めている。一般的な小売商品と異なり、高級ワインは持ち運びやすいうえに単価が高く、ボトルを元のパレットや包装から分けて、複数の管轄区域をまたいで移動させることもできる。そのため、窃盗の発覚後、生産者や流通業者が早期に情報を特定し、迅速に共有することが重要となる。
Marchesi Antinoriにとって、今回の事件は在庫だけでなく評判にも影響を及ぼす。ただし、同社が警備上の不備を問われているわけではない。数世紀の歴史と世界的な知名度を持つ生産者である同社は、トスカーナ州で捜査が続くなか、倉庫や輸送業務全体の警備体制を見直すよう求められる可能性が高い。