売上減のブッシュミルズ、ウイスキー在庫が過去最高の2億1,790万ポンドに
需要低迷を受け、ブッシュミルズの2025年売上高は5,230万ポンドに減少。熟成中ウイスキーの在庫は過去最高となった。
2026年10月14日(水)

アントリム県のオールド・ブッシュミルズ蒸留所では、売上高が2年連続で減少するなか、熟成中のウイスキー在庫が過去最高に達した。アイルランドのウイスキー業界の広い範囲に及んでいる市場減速を示す動きだ。
2025年の決算によると、ブッシュミルズの売上高は5,230万ポンドで、2024年の5,390万ポンド、前年の5,680万ポンドから減少した。売上高が落ち込む一方、税引前利益は960万ポンドから980万ポンドに増加し、純利益も620万ポンドから690万ポンドに伸びた。
決算によると、2025年末の在庫総額は2億1,790万ポンドに達し、同社の過去最高を記録した。その大半を占めたのは、1年以上熟成中のウイスキーで、評価額は1億8,200万ポンドだった。さらに、今後12カ月以内に熟成を終える見込みのウイスキーが2,900万ポンド分あった。
この在庫の積み上がりは、急速な拡大が続いた数年を経て、アイルランドのウイスキーメーカー各社が需要の低迷に対応するなかで起きている。業界統計によると、昨年の生産量は3,370万リットルに減少。ブッシュミルズを含む蒸留所の約90%は、供給過剰とコスト上昇の圧力を受け、2025年半ばに生産を一時停止または縮小し、年後半に再開した。
ブッシュミルズも自社の生産量を抑え、従業員数を削減した。同社の従業員数は114人で、人件費は700万ポンドだった。一方、手元資金は1,000万ポンド弱から1,180万ポンドに増加し、ロイヤルティ収入は約200万ポンドに達した。
同社は、Jose Cuervoで知られるメキシコの酒類大手Becle傘下にある。売上高が軟調に推移するなかでも、ブッシュミルズは熟成能力と瓶詰め能力を拡大する7,000万ポンドの投資計画を継続している。この計画には、ウイスキー熟成用の新たな倉庫26棟と、新しい瓶詰め施設の建設が含まれる。
売上高の減少とウイスキー在庫の増加が重なる状況は、飲料業界全体で注視されている。特に、販売前に何年も在庫を熟成させる必要がある蒸留酒メーカーにとって、在庫の増加は長期にわたり資本を拘束し、生産を需要に合わせることを難しくする。こうした圧力は、投資判断、人員配置、倉庫の利用、新たな蒸留酒を樽に詰めるペースに影響を及ぼす可能性がある。
ブッシュミルズはアントリム県の蒸留所でウイスキーの蒸留、熟成、ブレンド、包装、世界各地への出荷を行っている。今回の拡張は、1608年に歴史をさかのぼる蒸留所の全体的な設備刷新の一環だ。