米国でテキーラが販売減を回避、カリフォルニアの生産者がアガベ栽培へ

需要低迷、ブドウの供給過剰、水の利用制限に直面するワイン生産者が、テキーラと法的に呼べない投機的作物アガベに賭けている。

2026年10月13日(火)

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米国でテキーラが販売減を回避、カリフォルニアの生産者がアガベ栽培へ

米国の小売市場を対象とする直近の調査期間で、主要スピリッツのうち販売減を免れたのはテキーラだけだった。この差が、ブドウに代わる作物を探すワイン生産者の間で、カリフォルニア州のアガベへの新たな投資を後押ししている。

Yahoo Financeが掲載したBloombergの報道によると、Circanaが集計した米国小売チャネルでのテキーラ販売は、9月9日までの52週間で横ばいだった。同じ期間に、ウォッカ、ウイスキーなどのスピリッツは少なくとも1.5%減少した。テキーラ自体の販売は伸びなかったものの、これらのカテゴリーに対して少なくとも1.5ポイントの相対的な優位を得た。

Bloombergの報道では、Circanaの数値が金額、販売量、あるいは別の小売指標のいずれを指すかは明らかにされていない。それでも、この差はカリフォルニア州の投資判断を左右するほど大きかった。同州ではワイン需要の低迷、ブドウの供給過剰、水の利用制限を受け、生産者が土地や設備の使い方を見直さざるを得なくなっている。

この転換は、長年ワイン用または生食用ブドウに依存してきた地域で特に目立つ。農家の一部は、メキシコでテキーラやメスカルの原料として知られるアガベを植えている。一般に、ブドウ畑より初期投資を抑えられ、水や維持管理の手間も少ないためだ。地下水規制の強化や干ばつの繰り返しにより、水を多く使う作物の栽培が難しくなっているカリフォルニア州のセントラルバレーやその他の農業地域では、こうした特性が重要になっている。

この賭けに出ている生産者の一人が、カリフォルニア州ヒューロンの2代目農家、Stuart Woolfだ。Bloombergによると、Woolfは過去4年間で約550エーカーにアガベを植え、さらに150エーカーを追加する計画だ。実現すれば、作付面積は約27.3%増える。Woolfは、農地の生産を続け、雇用を守るとともに、農業経営全体に影響する長期的な水利用制限に適応する手段としてアガベに期待している。

カリフォルニア州の生産者は、アガベ由来のスピリッツに対する地元市場の需要がすでに強いことも、参入の理由に挙げる。同州の人口は約4,000万人で、ラテン系住民も多いことから、一部の生産者は、米国内で造る新たなアガベ飲料にとって自然な消費者層になると見ている。ただし、事業として成り立つかどうかは需要だけでは決まらない。カリフォルニア州ではまだ大規模に確立されていないサプライチェーンを、生産者が構築できるかにもかかっている。

そこで蒸留設備への投資が重要になる。Bloombergによると、O’Neill Vintners & Distillersはアガベの蒸留設備に約US $300,000を投じており、今後1年間で投資額を2倍から3倍にする見込みだ。この動きは、消費の鈍化や消費者の嗜好の変化でワイン業界が圧力を受けるなか、カリフォルニア州の酒類生産者の一部がアガベを事業として成立させられるか試していることを示している。

この戦略には明確な制約がある。カリフォルニア州産アガベを原料とするスピリッツは、原産地呼称の保護規則により、テキーラやメスカルの名称で販売することが法的に認められていない。両名称はメキシコの特定地域に結び付いている。カリフォルニア州の生産者は、アガベスピリッツやアガベ蒸留酒など、別の名称で販売する必要がある。つまり、新製品はテキーラ風の飲料への消費者の関心を取り込める可能性がある一方、すでに認知度と確立された価値を持つカテゴリー名は使えない。

カリフォルニア州の生産者は、この制約が実験の余地も生み出すと話す。メキシコのテキーラやメスカルの産地に適用される製法の伝統や規制基準に縛られないため、さまざまな製法やスタイルを試すことができる。独自の商品づくりにつながる可能性がある一方、米国には大規模な国産アガベスピリッツ市場がまだ存在しないため、不確実性も増す。

農業面のリスクも大きい。アガベは成長が遅く、収穫まで通常5年以上かかる。そのため、今植える農家は数年先の市場環境を見越して賭けることになる。その間に価格が大きく変動する可能性もある。Bloombergは、メキシコで最近アガベ価格が急落したと報じた。ブドウなどの商品作物と同じく、アガベも価格高騰と急落を繰り返す可能性があることを示す例だ。カリフォルニア州で新たに植えられた農地が収穫期を迎えるころには、需要や価格の状況が大きく変わっているかもしれない。

加工インフラの不足も課題だ。カリフォルニア州では、商業規模でアガベを加熱、破砕、発酵、蒸留できる能力が限られている。また、テキーラやメスカルの生産が何世代にもわたり磨かれてきたメキシコと比べ、業界の知見もはるかに少ない。経験豊富な加工業者や買い手の層が広がらなければ、農家が直面する市場は、従来のワイン用ブドウよりも投機的なものになる。

この懸念は契約にも及ぶ。確立した作物分野では、農家は大規模な植え付けを決める前に、買い取り契約や加工業者との長期的な関係を頼りにすることが多い。Bloombergによると、カリフォルニア州のアガベ生産者には、まだそのような支えがない。カリフォルニア州のワイン産地で土壌科学者兼コンサルタントを務めるSteve Vierraは、蒸留業者が植え付け前の契約を提示していないとして、アガベを投機的な作物と表現した。生産が需要を上回るペースで拡大したり、地元産の買い手となる蒸留業者が少なすぎたりすれば、農家はリスクにさらされる。

カリフォルニア州での試みは、ここ数年、米国でテキーラへの需要が強まってきたという大きな背景のなかで進んでいる。BloombergはメキシコのTequila Regulatory Councilのデータを引用し、メキシコから米国へのテキーラ輸出量は2020年から2025年にかけて約30%増えたものの、2025年には約1%減少したと報じた。こうした数字は、輸出の伸びが鈍化し、地元産品がテキーラの保護名称を使えない状況でも、カリフォルニア州の農家や蒸留業者が国産アガベ製品の市場に余地があると考える理由を示している。

現時点の小売データからは、テキーラが米国で競合するスピリッツより底堅さを保っている一方、消費者全体の慎重姿勢を免れているわけではないことがうかがえる。それでも、このわずかな優位性はカリフォルニア州の生産者の関心をつなぎ止めている。ワイン事業の採算が悪化し、水の価格も上昇している州だけに、その関心は強い。関心が持続可能な新産業に結び付くかどうかは、どれだけの面積にアガベが植えられるか、蒸留能力がどれだけ速く拡大するか、そして消費者が米国産アガベスピリッツを独自の商品として受け入れるかにかかっている。

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