マクマニス・ファミリー・ワイナリー、7,795万ドルで売却へ
需要低迷やコスト上昇、カナダでのボイコットを受け、マクマニス・ファミリー・ワイナリーのカナダ向け輸出は約95%減少した。
2026年10月8日(木)

カリフォルニア州のワイン業界は、需要の低迷やコスト上昇、貿易をめぐる影響に直面している。州内各地のブドウ栽培農家やワイナリー経営者は事業の見直しを迫られ、主要資産を売却に出すケースもある。
厳しい状況を示す例の一つが、サンホアキン・バレー北部にあるマクマニス・ファミリー・ワイナリーだ。売却価格7,795万ドルで市場に出ている。1990年創業の家族経営企業で、リポン、クラークスバーグ、ロディ周辺のブドウ畑で知られる。持続可能性への取り組みで評価を築き、ナパやソノマほど注目されてこなかった地域の知名度向上にも貢献してきた。現在は、業界関係者の多くが数十年ぶりの厳しさと表現する市場への対応を模索している。
カリフォルニア州のワイン産業は年間約840億ドルの経済効果を生むが、景気後退の影響は、小規模なブティックワイナリーや家族経営事業から独立系ブドウ栽培農家、大手企業まで、あらゆる規模の生産者に及んでいる。経済学者や業界専門家はSFGATEに対し、ワイン消費の減少、消費者の習慣の変化、インフレ、人件費、供給過剰、米国産ワインに対するカナダのボイコットに伴う損失など、複数の問題が重なっていると語った。
マクマニスも、この貿易摩擦の影響を受けた企業の一つだ。The Sacramento Beeによると、同ワイナリーのカナダ向け輸出は約95%減少し、2025年7月から2026年7月にかけて、出荷量は7万5,000ケースから1,000ケースに落ち込んだ。マクマニスはSFGATEの取材を受けなかった。
カリフォルニア州のワイナリー全体が受けた打撃も大きい。州内ワイナリーの業界団体Wine Instituteは、カナダの禁輸措置によって2025年にワインメーカーが3億5,700万ドルの損失を被り、今年も損失が続いていると明らかにした。飲料業界にとって、これは貿易摩擦が輸出売上を急減させ、企業価値を圧迫し、ブドウ畑やワイナリー、生産設備の売却を早める可能性を示す明確な例だ。また、栽培農家がブドウの樹を抜いたり、土地を別の作物に転用したりする動きが広がれば、カリフォルニア州のワイン生産能力に長期的な影響が及ぶ可能性も示唆している。
カリフォルニア大学デービス校で農業・資源経済学を教え、ワイン産業を専門とするダン・サムナー教授はSFGATEに対し、関税と報復措置が二重の負担を生み出していると語った。投入コストを押し上げる一方、輸出市場を閉ざしたり縮小させたりして、ワイン価格を下押ししているという。サムナー氏によると、貿易摩擦で取引が混乱する前は、カナダがカリフォルニア産ボトルワインの最大の輸出先だった。
同氏は現在の状況を、異例の深刻さだと表現した。サムナー氏はSFGATEに対し、業界が同程度の苦境に陥った時期を探すには禁酒法時代までさかのぼる必要があると述べた。ただし、統計データには、栽培農家やワイナリーが現場で受けている打撃が反映されるまで時間がかかることも指摘した。回復が始まったことを示す確かな証拠は、まだないという。
ほかのアナリストは、問題は貿易だけではないと指摘する。アルコール業界のデータ会社bw166のマネージングパートナー、ジョン・マラマルコ氏はSFGATEに対し、ワインは長年、ベビーブーマー世代を中心とした旺盛な需要の恩恵を受けてきたと語った。特に1990年代初頭から2017年または2018年ごろまでがそうだったという。同世代が市場から退きつつある一方、業界は若年成人の間で同じように定期的なワイン消費を根付かせることに苦戦している。
マラマルコ氏によると、日常生活の変化も、夕食の席でワインを楽しむという従来の習慣に逆風となっている。平日の家族そろっての夕食が減ったこと、家庭の予定が過密になったこと、支出の優先順位が変わったことなどを挙げた。また、若い消費者は自由に使えるお金をめぐって、デジタル娯楽やオンライン賭博などとの競争にもさらされている。こうした支出が、かつてならバーやレストラン、小売店での酒類購入に向かっていた資金を奪う可能性があるという。
この変化はワインに限った問題ではない。消費者が酒類を買う頻度を減らしたり、支出をより多くのカテゴリーに分散させたりすれば、ワインメーカーはビールや蒸留酒だけでなく、幅広いライフスタイル上の選択肢とも競争しなければならない。それは飲料業界全体の価格設定やマーケティング、投資判断にも影響しうる。
パソ・ロブレスをはじめとするセントラルコースト地域では、不動産の売却や事業の閉鎖に景気後退の影響が表れている。1990年からパソ・ロブレス周辺で牧場やワイナリーを販売してきたサンルイスオビスポ郡の不動産エージェント、デビッド・クラブツリー氏はSFGATEに対し、この地域は数十年をかけて、通過地点から主要なワイン観光地へと発展したと語った。パソ・ロブレスにはブティックワイナリーが集まり、ワインの国際的な評価やレストラン、エンターテインメント、観光が盛り上がり、後には企業の買い手からも関心を集めたという。
クラブツリー氏によると、パンデミック中はワインと蒸留酒の需要が急増したが、その後、状況は一変した。インフレと人件費は高止まりする一方、特にZ世代の間で酒類の販売が鈍化した。その結果、過去の成長予測に基づいて整えられた供給体制と、市場の減速との間にずれが生じたという。
この不均衡はすでに地域に表れている。SFGATEによると、Chronic Cellarsは4月、パソ・ロブレスのテイスティングルームを閉鎖した。E&J GalloはサンミゲルのCourtside Cellarsを閉鎖し、昨年秋には47人を解雇した。Hotel SLOに隣接し、Region Sonomaの系列店にあたるワインバーのRegion SLOも、7月に閉店した。
一方、不動産物件の売り出し状況からは、物件価値が試されていることがうかがえる。クラブツリー氏は、サンミゲルにあるLocatelli Vineyards and Wineryなど、ワイン関連物件を複数取り扱っている。1996年から営業する家族経営のワイナリーで、物件には97エーカーの土地が含まれ、そのうち37.50エーカーに収穫可能なブドウ畑がある。売り出し価格は550万ドルだ。また、カベルネ・ソーヴィニヨン、プティ・シラー、ソーヴィニヨン・ブランを約51エーカーに植えた土地と、未植栽の土地21エーカーを伴う6寝室の住宅も、約480万ドルで販売している。
クラブツリー氏はSFGATEに対し、現在は同等の物件を一から開発する費用を下回る価格で、ワイナリーやブドウ畑を取得できると語った。パソ・ロブレスの未開発地に井戸や灌漑設備を設け、台木を植えるには、1エーカー当たり約3万~5万ドルかかると見積もる。同氏によれば、すでにブドウを生産している畑もほぼ同じ価格で売られており、土地自体には実質的にほとんど、あるいはまったく価値が付けられていない。
現在の事業者が苦境にある一方、市場の回復を見込む投資家には好機となる可能性がある。クラブツリー氏とサムナー氏はともに、ロサンゼルスやシリコンバレーの富裕層からカリフォルニアのワイン産業に資金が流入し続けているとSFGATEに語った。その一部は小規模ワイナリーを支えたり、損失を長期にわたって吸収できるオーナーによる投機的な買収に充てられたりしている。
マラマルコ氏によると、顧客との関係を深めることで、打撃を抑えているワイナリーもある。同氏はSFGATEに対し、小規模で機動力のある生産者は、ワイナリーで顧客と直接交流し、オンラインやソーシャルメディアを通じて継続的に情報を発信すれば、成功を続けられると語った。同氏の見方では、強い経営力を持つ事業者は、既存顧客とのつながりを保ちながら新たな顧客の獲得を目指すため、こうした手法を組み合わせている。
それでも、目先の状況は依然として厳しい。家族経営のワイナリーやブドウ栽培農家、大手企業は、ブドウ畑への投資を続けるか、より安定した収益が見込める別の作物に切り替えるか、判断を迫られている。輸出の損失が膨らみ、国内需要も低迷するなか、こうした選択はカリフォルニア州のワイン産地の一部を再編し、今後、州が小売店やレストラン、販売業者に供給できる製品の量にも影響を及ぼす可能性がある。