高級スピリッツ市場、2025年に世界で10%縮小
IWSRによると、高級スピリッツ市場は2年連続で減少。中国で25%落ち込み、作られた希少性への懐疑心も強まった。
2026年10月6日(火)

IWSRの新たな調査によると、買い手が慎重になり、価値を明確に示すよう求め、希少性の根拠が乏しいと受け止めた商品を敬遠したことから、高級スピリッツの世界市場は2025年、2年連続で縮小した。
市場調査会社のIWSRは火曜日、白酒を除くステータススピリッツの世界市場が、2025年に金額ベースで10%縮小したと発表した。IWSRはこのカテゴリーを、世界加重平均の小売価格がボトル当たり100ドルを超えるスピリッツと定義している。主要市場で高級品への支出が鈍化し、すでに生産者や流通業者が厳しい状況に直面するなか、さらにもう1年の減少となった。
IWSRによると、経済的・地政学的な圧力が消費者心理を冷え込ませ、低迷が深まった。同社は不確実性を高めた要因の一つとして、2025年に米国が導入した関税を挙げた。また、イランでの紛争がその後、世界の高級品消費を左右する不安定感をさらに強めたとしている。
最も大きく落ち込んだのは中国で、ステータススピリッツ市場の金額は25%減少した。米国は6%減と比較的底堅く、免税店での販売は3%減だった。買い手やブランドが、確立された主要な高級市場の一部から関心を移すなか、小規模で成熟度の低い市場のシェアが拡大したとIWSRは述べた。
カテゴリー別の動向にも差が出た。コニャックは主に中国での不振を受け、金額ベースで17%減少した。スコッチウイスキーは9%減となったものの、市場シェアを維持した。金額が2%増加し、成長したのはアガベスピリッツだけだった。IWSRによると、アガベスピリッツとジャパニーズウイスキーは、トラベルリテールや新興の小規模市場で、それぞれ需要が強い分野を見いだした。
IWSRでステータススピリッツ担当シニア・インサイト・マネジャーを務めるGuy Wolfe氏は、市場が縮小する一方で、買い手層は変化していると述べた。特にアジアではミレニアル世代やZ世代の買い手が増えており、東南アジア、中南米、中東でも新たに富裕層となった消費者が拡大しているという。
Wolfe氏によると、こうした買い手は高価なスピリッツを敬遠しているわけではないが、購入前により厳しい問いを投げかけるようになった。同氏は、高価格であることだけでは、もはや欲しいと思わせる根拠にならないとみる。買い手は、そのボトルがなぜその価格なのか、合理的で透明性のある説明を求めている。
こうした変化は、プレミアム商品の位置づけにも影響を及ぼしている。IWSRによると、買い手の反応は、話題づくりを主な目的に発売される限定品よりも、希少性を検証できる商品に対して強まっている。特に、供給量が十分にあるように見える場合や、ボトルがすぐに価格変動の激しい転売市場に出回る場合、いわゆる「作られた希少性」への懐疑心が高まっているという。
こうした状況でも、プライベートカスク、オーダーメードのボトリング、来歴や生産品質に関する確かな記録に裏付けられた商品は、比較的堅調な需要を保っている。IWSRは、真に希少なスピリッツへの需要が続いている例として、Sotheby’s Distillers One of Oneチャリティー・ウイスキー・オークションを挙げた。2025年のオークションでは39ロットで310万ドルを集め、予想を上回った。
また報告書は、買い手が分かりやすく具体的な品質指標を求めるなか、熟成年数の表示が信頼を示すシグナルとして、より重要になっていると指摘した。ステータススピリッツの価格帯の下限で購入する消費者には、可処分所得の圧迫が影響している。そうした買い手は、知名度のあるブランド名、明確な熟成年数表示、初期費用を抑えられる小容量ボトルを、これまで以上に重視しているという。
この傾向はスコッチウイスキーの新商品にも表れている。IWSRによると、熟成年数を表示しないステータススコッチの新商品は過去2年間で減少した一方、18年以下の熟成年数を表示する商品は大幅に増加した。市場の高価格帯では、熟成原酒の供給増を背景に、蒸留所が長期熟成品を加えて定番ラインアップを拡充している。
Wolfe氏は、熟成年数への関心の高まりを、単なる懐古趣味や伝統志向と捉えるべきではないと述べた。広範な独占性の訴求に対する信頼が揺らぐなか、確認でき、理解しやすい特徴を求める広い動きを反映しているという。
もう一つの大きな変化は、ボトルそのものを超えた価値への移行だ。IWSRによると、高級スピリッツの買い手は、アクセス、体験、コミュニティーをより重視している。生産者や他のコレクターとのつながりを深めたいというニーズを背景に、蒸留所の見学、試飲会、プライベートクラブ、カスク所有者のグループ、チャリティーオークションが、高級品の提供価値における重要な要素になりつつある。
この調査によると、ブランドの変化が特に速いのがこの分野だ。企業はパッケージや熟成年数の長さだけに頼るのではなく、買い手がネットワークやイベントに参加できるプログラムを構築している。体験への支出が、物理的な商品だけに向けた支出を上回るようになっている高級品市場全体の変化を、この動きは反映しているとIWSRは述べた。
報告書はまた、特にウイスキーにおいて、伝統的な名門としての評価よりも来歴が重視されるようになっていると指摘した。スコットランド、米国、アイルランド、日本という長年業界を主導してきた産地以外の国の生産者が、100ドルを超える価格帯のボトルを販売する例が増えている。IWSRによると、そうしたウイスキーはインド、台湾、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、イスラエル、デンマークなどから登場している。
何世代にもわたる伝統を持たない新興の生産者は、プレミアム価格を正当化するため、別の形で品質を証明している。IWSRによると、特に有効なのは、地域に根ざした詳しいストーリー、熱帯の熟成環境、地元固有の樽、国際的な受賞歴、厳格に管理された供給量だ。地域の素材や職人技を強調するため、パッケージも活用されている。
Wolfe氏は、市場全体に共通するのは、買い手が第三者によって検証できる手がかりに反応していることだと述べた。それは熟成年数の表示、プライベートカスクの由緒、コンテストのメダル、特定の土地や製法に結びついた来歴の説明などだ。市場が成長鈍化と選別的な需要に適応するなか、そうした根拠を明確に示せないブランドは、高級品の買い手の支出を獲得するうえで、より厳しい競争に直面する可能性が高いとIWSRは述べた。