ハイネケン、2027年から英国で運営型パブを年間最大35店追加へ
Star Pubsは価格設定や店舗運営への関与を強める方針。一部店舗の改装費は£750,000に達する。
2026年10月6日(火)

ハイネケンの英国パブ事業部門は、年間30~35店を「Just Add Talent」モデルの運営型パブに切り替える見通しを示した。この動きにより、英国の店舗網において、価格設定や商品構成、流通、日々の運営を同社がより直接的に管理できる事業領域が拡大する。
英国のパブ部門であるStar Pubsはこの計画を明らかにし、2026年はパンデミック以降で最大の投資年になると説明した。個別店舗の改装費は最大£750,000に達する場合があるという。ただし、同社は今年の投資総額について、更新した数値を公表していない。
拡大ペースの目標は、2027年からの運営型パブ事業に適用される。Star Pubsは現在、「Just Add Talent(JAT)」方式のパブを240店運営しているほか、賃貸契約型のパブを2,120店展開し、合計2,360店を保有する。この数字に基づくと、運営型のJAT店舗は全体の約10.2%を占める。
現在のJAT店舗数を基準にすると、年間30~35店の運営型パブ追加は、閉店、売却、業態転換を考慮する前で、この区分の約12.5~14.6%に相当する。したがって、同社の目標は新規出店などの総数であり、運営型店舗網の純増見通しではない。
この違いは重要だ。Star Pubsは、同モデルが既存店ベースでどの程度の速さで拡大しているかを示す主要指標を公表していない。JAT方式の既存店売上高、ビール販売量、更新後の投資総額、収益性はいずれも明らかにしていない。こうした数字がないため、年間目標から分かるのは、予想される財務実績よりも、同社の成長意欲だ。
それでも、この戦略が向かう方向は明確だ。賃貸契約型のパブでは一般に、運営者が価格設定や事業運営においてより大きな裁量を持ち、貸主の日々の営業内容への直接的な関与は限定される。JATのような運営型モデルでは、オーナーが店舗の事業運営の仕組みに、より強い影響力を持つ。ハイネケンにとっては、何を販売するか、パブをどのように運営するか、店舗網全体で自社製品をどう展開するかを、より細かく管理できることを意味し得る。
JAT方式は、より積極的な関与によって成果の向上が見込めると同社が考える市場の一部で、Star Pubsが事業を拡大するうえで重要な役割を担うようになった。年間30~35店を追加する計画は、英国の店舗網では賃貸契約型が依然として大半を占めるなかでも、ハイネケンがこの方式をさらに拡大できると見ていることを示す。
同社の発表は、英国のパブ運営会社がコスト上昇、消費者需要の変化、飲食関連チャネル間の競争に直面し、厳しい事業環境が続くなかで行われた。顧客を呼び込み、店舗の位置付けを見直すうえで、改装投資はパブ運営会社にとって引き続き重要な手段だ。特に、店舗の質が料理や高価格帯の飲料、イベントへの支出を左右し得る立地では、その重要性が高い。
Star Pubsが2026年をパンデミック以降で最大の投資年と位置付けたことは、こうした逆風にもかかわらず、ハイネケンが英国のパブ市場に資金を投じる意向を保っていることを示している。個別店舗に最大£750,000を投じる改装計画には、簡易な改修ではなく、大規模な設計変更を伴う案件も含まれるとみられる。ただし、同社は新たな投資総額を示していないため、店舗網全体にどれだけの資金を投じる計画なのかは測れない。
既存のJAT事業の規模からは、この方式がStar Pubs全体の事業に占める割合は、依然として比較的小さいことも分かる。2,360店のうち運営型は240店で、大半は賃貸契約型だ。年間の追加計画は運営型部門にとって意味のある規模だが、数年間にわたり継続するか、賃貸契約型から運営型への転換がさらに進まない限り、ポートフォリオ全体の構成が短期間で大きく変わることはない。
ハイネケンにとって、事業拡大の戦略的価値は店舗数の増加にとどまらない。運営型店舗網の拡大は、欧州の主要市場の一つで、小売現場での販売施策をより細かく形作る助けになる。製品の販促や品ぞろえ、価格帯の設定、消費者動向への店舗の対応にも影響し得る。また、距離を置いた関係になりやすい賃貸契約型モデルに比べ、新たな業態やメニュー案、飲料ラインアップを試す場としても、より強力な基盤となる可能性がある。
10月2日付の発表は、投資家や競合他社が注目するとみられる成長分野を浮き彫りにした。ただし、財務情報の開示が限られているため、その機会の規模を十分に評価するのは難しい。同社は、年間追加目標のうち新規開店が何店で、既存店舗網からの転換が何店なのか、また同じ期間にJAT方式を離れる店舗が何店あるのかを明らかにしていない。
そのため、運営目標と実際の純増数の間には重要な隔たりが残る。Star Pubsが年間30~35店を運営型パブとして開店、または転換する一方で、店舗を閉鎖したり、同モデルから外したりすれば、JAT店舗数の実際の増加は目標を下回る可能性がある。また、大規模改装の承認にあたり、どのような投資収益率の基準を用いているのか、改装後の店舗がどれほどの期間で投資を回収する想定なのかも、同社は明らかにしていない。
明らかなのは、ハイネケンが英国のパブ市場で、より直接的な管理が可能な分野への進出を続ける方針を示していることだ。同社はパンデミック以降の数年間を上回る水準の設備投資を組み合わせ、Star Pubsと「Just Add Talent」方式を通じて、2027年以降、運営型店舗の存在感を高める考えだ。