Diageo、ギネスのボルティモア醸造所を7年で閉鎖へ

2018年に9,000万ドルを投じて開設された、1954年以来初のギネス米国醸造所が、Diageoのコスト削減策を受け閉鎖される。

2026年10月5日(月)

シェアする

Diageo、ギネスのボルティモア醸造所を7年で閉鎖へ

Diageoは月曜日、ボルティモアのGuinness Open Gate Breweryを閉鎖すると発表した。アイルランドのビールメーカーが60年以上を経て米国での生産を再開した拠点での操業に幕を下ろす。

同社によると、一般向けの営業は11月1日に終了し、年末までに操業を停止する。ボルティモア郊外のハレソープにあるこの施設は、9,000万ドルを投じて2018年に開設された。当時Diageoは、ギネスが小規模醸造のビールやその他の新製品を試し、後に規模を拡大できるか検証するための実験的な醸造所と位置付けていた。

今回の閉鎖は、Diageoがグローバル事業全体で10億ドルのコスト削減計画を進めるなかで決まった。この取り組みでは、2,000人を超える人員削減や、コストを抑えて競争力を高めることを目的とした大規模な組織再編が行われている。多くの市場でアルコール消費が減速し、消費支出にも引き続き圧力がかかっている。

Diageoの広報担当者は声明で、ギネスは同社にとって依然として最重要ブランドの一つであり、長期的な成長に向けた投資を続けると述べた。また、ボルティモア醸造所の閉鎖は慎重に検討したうえでの決定であり、消費者行動の変化や経済的な圧力によって、同施設の維持が難しくなったと説明した。

広報担当者は「ボルティモア醸造所は閉鎖しますが、世界中の消費者にギネスを届けるという取り組みに変わりはありません」と述べた。

ボルティモアの施設は、ギネスにとって象徴的な意味を持っていた。2018年の開設時、同ブランドにとって1954年以来初の米国醸造所となった。当時は、大手ビール会社がクラフトビールブームの勢いを取り込もうと、観光客を呼び込み、新製品を試すための観光型醸造所やタップルーム、実験施設を開設していた。

Diageoは米国では引き続き、2023年に開設したシカゴのギネス醸造所も運営している。同社はこの施設の運営について変更を示唆していない。むしろ、広範なコスト削減策で生み出す資金を、ギネスを含む「競争力のあるカテゴリーの関連ブランド」に再投資すると説明した。

ボルティモア醸造所の閉鎖は、Diageoのビール事業の業績が一様ではないなかで決まった。同社によると、ビール部門のギネスはオーガニック成長率4%を達成しており、事業の他の一部で需要が弱まるなかでもブランドの底堅さを示している。しかし、ブランドの勢いがあっても、同社を取り巻く広範な圧力は避けられない。Diageoは、2026年度に北米事業の売上高が8.4%減少したと発表しており、同地域は再編の主要な対象となっている。

この状況は、ギネス関連の実物資産を削減する一方で、ブランドへの投資継続を約束する理由の一端を説明している。大手飲料メーカーにとって問われるのは、ブランドの売り上げが伸びているかどうかだけではない。借入コストや人件費、飲酒習慣の変化によって事業拡大の採算性が変わるなか、各醸造所やビジターセンター、研究開発拠点が十分な利益を生み出しているかも問われる。

ボルティモアの閉鎖は、ギネス以外にも影響を及ぼす。飲料業界では、ビールメーカー、ワイン生産者、スピリッツ各社が、慎重さを増す消費者、飲食・観光施設への来訪者数のばらつき、設備投資への監視強化に直面している。こうした環境では、かつて戦略的とみられた事業の見直しを迫られることがある。特に、大規模生産ではなく観光や現地販売、試験的な生産に依存する醸造所はその対象になりやすい。そうした意味で、今回のDiageoの決定は、重要なブランドであっても、飲料メーカーが投資先をより厳選するようになっていることを示す動きといえる。

メリーランド州にとって、この閉鎖は地域の観光経済とビール文化の一部となっていた知名度の高い醸造所を失うことを意味する。Guinness Open Gate Brewery and Barrel Houseは、タップルームでの提供や醸造所イベント、小規模生産の限定品を通じて、地元住民や観光客を集めてきた。こうした商品は、店舗で広く販売されているギネス製品とは異なるものだった。Diageoは月曜日、影響を受ける従業員数を公表しなかったが、移行期間中、従業員と周辺地域を支援すると述べた。

この醸造所は、米国のクラフトビールやスペシャルティビールへの期待が高まっていた時期に開設された。当時は、地元生産や醸造所訪問、限定品への消費者の関心が強かった。その後、市場は変化した。クラフトビールの成長は鈍化し、スピリッツやRTD製品との競争が激化したほか、多くの若年層は飲酒量を減らすか、支出先をより慎重に選ぶようになっている。こうした変化は、小規模醸造所だけでなく、プレミアムビールを扱うグローバル企業にも圧力をかけている。

Diageoは北米で業績が低迷したことを受け、同地域で利益率を守り、事業運営を改善できるかが問われている。ボルティモア醸造所の閉鎖は、同社が事業拠点の再編をどこまで進める構えなのかを示す、最も明確な兆候の一つだ。それでもDiageoの発言からは、今回の決定を米国でのギネス事業からの撤退とは捉えず、より長期的な成長が見込める事業に資源を振り向ける広範な取り組みの一環と位置付けていることがうかがえる。

この記事を気に入りましたか?シェアしましょう。

Cookie

サイトの運営、利用状況の分析、外部コンテンツの提供にCookieやその他の技術を使用しています。任意のCookieを許可、拒否、または設定できます。

Cookie ポリシー