ジンの味わいを形づくるもの:原料、蒸気、製造方法の選択
ジュニパーやコリアンダーから、蒸気を使った香り付け、蒸留の留分まで。ジンの香りがどのように生まれるのか、またボタニカルの一覧だけではグラスに注がれたジンのすべてを説明できない理由を見ていきます。

ジンからは松、柑橘、香、あるいは花を思わせる香りが感じられることがあります。しかし、そうした手がかりだけで、どの原料が香りのもとになっているかは分かりません。香りの由来を理解するには、使われる植物素材、その成分の抽出方法、そして製造工程が進むにつれて蒸留液がどう変化するかをたどるとよいでしょう。
種子が花のような香りをもたらすこともある
ジンに花のような印象があれば、花が加えられているはずだと考えがちです。しかし、2種類のジンを対象に化学分析と官能評価を組み合わせた研究では、その香りがリナロールと結び付けられました。リナロールは、コリアンダーシードの精油にも含まれる成分です。意外な点は単純です。花のような印象は、花びらや乾燥花ではなく、種子に由来することもあります。
この興味深い例は、より広い考え方を理解する手がかりにもなります。ジンでは、異なる植物が似た芳香成分を含むことがあるため、香りから原料を一つに特定することはできません。ボタニカルの一覧は参考になりますが、グラスから感じ取れる香りをすべて解読するための正確な鍵ではありません。
まず押さえたいポイント
花のような香りがしても、必ずしも花が加えられているとは限りません。
研究対象となったジンでは、リナロールによって、その印象とコリアンダーシードとのつながりが示されました。
ベーススピリッツと香りを付ける原料
ジンは通常、ジュニパーを発酵させて造るものではありません。一般的には、農産物由来の比較的ニュートラルなスピリッツをベースにし、植物素材を加えて香りを付けます。ボタニカルという言葉は、種子、根、果皮など、酒の香りの個性を大きく左右する植物由来の素材を指します。
香りがどのように移るかをたどりやすいのは、再蒸留する方法です。スピリッツをボタニカルとともに再び蒸留し、ボタニカルを液体に浸すか、アルコールと水の蒸気が通るバスケットに入れます。ジンの香り付けにはほかの方法もありますが、植物素材から完成した蒸留液までの流れを追いやすい方法の一つです。
ジュニパー、種子、果皮、根:香りを見分ける手がかり
ジュニパーは、クラシックなジンの個性の中心にあり、松や樹脂を思わせる香りをもたらすことが多い素材です。また、植物学上の興味深い特徴もあります。多くの人が「ベリー」と呼ぶ小さな球状の実は、実際には本物のベリーではありません。鱗片が厚くなって融合した、肉厚の雌性球果です。ジンの飲み方が変わるわけではありませんが、最も象徴的な原料が最初から珍しいものであることを思い出させてくれます。
ジュニパーに加え、よく使われるボタニカルが香りの幅を広げます。コリアンダーシードは柑橘系のニュアンスと結び付けられることが多く、レモンやオレンジの果皮はそれぞれ異なる柑橘の爽やかさをもたらします。アンジェリカルートは、よりドライな香り、ときには香を思わせる香りと結び付けられます。これらは大まかな方向性を想像するための手がかりであり、どのボトルの味わいも正確に予測できる公式ではありません。
コリアンダーの例からは、こうした手がかりを慎重に読み取る必要があると分かります。種子が花のような香りに寄与することもあるなら、香りはそれぞれ一つの原料に対応する一覧表のようには働きません。複数の植物が同じ方向の香りをもたらすことがあり、製造方法も、そうした成分が最終的な仕上がりにどう現れるかを変えます。
香りの手がかり
- ジュニパー:松や樹脂を思わせる香り。
- コリアンダーシード:柑橘系のニュアンスに加え、花のような香りとも結び付く成分。
- レモンまたはオレンジの果皮:それぞれ異なる柑橘の香り。
- アンジェリカルート:ドライな香り、ときには香を思わせる香り。
植物から蒸留液へ、香りが移る仕組み
再蒸留するジンでは、ボタニカルをいくつかの方法で加えられます。一つは、蒸留する液体にボタニカルを浸す方法です。加熱前に浸しておけば、アルコールと水が先に植物素材から成分を抽出し始めることがあります。これが事前浸漬です。もう一つは、アルコールの蒸気が通過する位置に設置したバスケットにボタニカルを入れ、液体に浸さずに香りを移す方法です。
次に、蒸留の基本的な工程があります。混合液を加熱すると、その一部が蒸気になり、冷却すると再び液体になります。蒸気が液体に戻るこの変化を凝縮といいます。最後に集められる蒸留液は、もとのスピリッツそのものではなく、ボタニカルから抽出された芳香成分の一部を運び、取り込んだ液体です。
| 項目 | 液体に接触させる方法 | 蒸気を通すバスケット |
|---|---|---|
| 使い方 | 蒸留する液体にボタニカルを入れる。 | 蒸気が通過するバスケットにボタニカルを入れる。 |
| 加熱前に行う場合がある工程 | 加熱前に浸漬工程を設けることがある。 | ボタニカルは液体に浸さない。 |
| 共通する結果 | 抽出された成分の一部は、凝縮後に蒸留液へ移る。 | 抽出された成分の一部は、凝縮後に蒸留液へ移る。 |
蒸気を使う方法でも抽出量が少なくなるとは限らない
比較試験では、蒸気を使った香り付けでも、必ずしも抽出量が少なくなるわけではないことが示されました。調査対象となった条件では、分析した10種類のテルペンのうち9種類が、蒸気を使って得られた蒸留液でより高い濃度を示しました。例外はリナロールでした。テルペンは多くの植物に含まれる芳香成分の一群です。この結果は、方法を変えても、すべての成分が同じ方向に変化するわけではないことを示しています。
ここから得られる有益な教訓は、どちらかの方式が優れているということではありません。研究が示しているのは、より限定的な点です。抽出方法によって、成分どうしのバランスが変わります。このバランスが、似たボタニカルを使った2種類のジンでも、香りや味わいが異なる理由の一端を説明します。
研究結果の限界も覚えておく必要があります。この研究が測定したのは、特定の条件下における10種類の成分です。人が感じる香り全体を測定したわけではなく、それだけで感覚的な強さや、より滑らかな口当たり、あるいは普遍的な好みを証明したわけでもありません。化学的な分析は貴重な手がかりになりますが、ジンを嗅いだり味わったりしたときに人が感じるものすべてに取って代わるものではありません。
蒸留液は工程の最初から最後まで同じではない
ボタニカルから香りが移った時点で、話が終わるわけではありません。蒸留中、集められる液体は時間とともに変化します。留分を異なるタイミングで集めた蒸留液の区分と考えると、ジン造りが選択の工程でもあることが分かりやすくなります。
Jan Hodelの研究では、調査対象となった条件下で、テルペンの異なる系統が工程中にそれぞれ異なる変化を示しました。濃度が初期に高くなるものもあれば、後半に増えるものもありました。つまり、どの区分を合わせ、どの区分を除くかという判断が、最終的な香りの構成を形づくります。蒸留器に入れた原料が分かっても、全体像の一部しか分かりません。
こうした選別の後、目標とするアルコール度数に合わせて蒸留液に水を加えることがあります。中心となる考えを理解するのに、すべてに当てはまる数値は必要ありません。元の植物から完成した酒に至るまで、いくつもの製造上の選択が仕上がりに影響します。
ボタニカルの一覧から分かること、分からないこと
ボタニカルの一覧は貴重な手がかりを与えてくれます。ジュニパーを軸にした味わいを想像したり、柑橘、ドライさ、樹脂のどれに寄った香りになりそうかを予想したり、香りの説明を理解しやすくしたりできます。しかし、それだけでジンを再現することはできません。少なくとも、成分をどのように抽出したか、そして蒸留液のどの留分が最終的なブレンドに含まれたかという、決定的な2つの要素が分からないためです。
混同されがちな3つの段階、すなわち化学組成、感覚的な知覚、個人の好みを分けて考えることも大切です。ある方法で特定の成分の濃度が高くなっても、それだけで優れているとは限りません。同じように、花のような香りだけでは、どの原料がその香りを生んだかは分かりません。ジンの味わいを知るうえで特に示唆的なのは、原料だけでなく、その扱い方も味わいを形づくるという点です。