スペイン、農業支援金26億9,100万ユーロの前払いを開始
EUは肥料費の負担軽減に向け、今年は最大75%の前払いを承認。農業者らは来週、抗議行動を予定
2026年10月21日(水)
スペイン農業省は水曜日、2026年分の共通農業政策(CAP)直接支払いの前払いを各自治州が開始できるよう、26億9,100万ユーロを自治州政府に送金し始めた。来週に新たな抗議行動が予定されるなか、ルイス・プラナス農相は、農業者や畜産農家に対する政府の総合的な支援を擁護した。
スペイン農業保証基金(FEGA)を通じた前払いは、水曜日から11月30日まで、今年提出された支援申請を対象に実施できる。農業省によると、前払いを行うかどうかは自治州の支払機関の判断に委ねられており、各自治州が国の規則で定められた範囲内で、支払いの実施の有無や時期、対象とする支援策を決める。支払いに先立ち、EU資金が適切に使われることを確保するため、各自治州は所定の事前確認を完了しなければならない。
欧州委員会は今年、中東紛争が市場に及ぼす影響、とりわけ肥料費の上昇を受け、より柔軟な条件の下で前払いを認めた。この一時的な措置により、必要な確認の完了後に前払いを開始できるようになり、前払いの上限も支援総額の75%に引き上げられた。農業省によると、危機に伴う農業資材費の上昇に直面する農業者や畜産業者に、農業シーズンの始まりに資金繰りの余裕をもたらすことが狙いだ。
FEGAが調整するCAP前払い制度に参加するスペインの自治州は、11月30日までに26億9,100万ユーロ全額を支払う見込みだと中央政府に伝えた。農業省によると、このうち約17億ユーロは10月後半だけで支払われる可能性がある。
見込み額が最も大きいのは、アンダルシア州の7億7,900万ユーロ、カスティーリャ・イ・レオン州の6億3,860万ユーロ、カスティーリャ・ラ・マンチャ州の4億4,560万ユーロ、エストレマドゥーラ州の2億8,340万ユーロ、アラゴン州の2億4,450万ユーロ。これに対し、ナバラ州は7,420万ユーロ、ガリシア州は4,700万ユーロ、バレンシア州は4,200万ユーロ、アストゥリアス州は3,880万ユーロ、ムルシア州は2,600万ユーロ、マドリード州は2,140万ユーロ、ラ・リオハ州は1,770万ユーロ、バレアレス諸島は1,700万ユーロ、カンタブリア州は1,590万ユーロとなっている。
今年、前払いの対象となる支援策には、持続可能性のための基礎所得支援と、その再分配支払い、若手農業者向け支払いなどの追加支援、エコスキーム、そして大半の生産連動型支援が含まれる。前払いの対象外となるのは、子牛の肥育に関連する支援と綿花向けの特別支払いの2つで、いずれも12月1日より前には支払えない。
直接支払いの通常の支払期間は12月1日に始まり、その日以降、各自治州は支給予定額の最大90%を支払うことができる。残額の支払いは、直接支払い制度の最終的な単価が5月に算定された後に認められる。通常の支払期間は2027年6月30日に終了するが、欧州農業保証基金(FEAGA)の会計年度末に当たる2027年10月15日までは、残余分の支払いが続く可能性がある。スペインはその時点までに、農業部門に対する直接支援金48億9,700万ユーロを支払い終える見込みだ。
前払いの開始は、プラナス農相が前日、週次の閣議後にマドリードで開いた記者会見で、危機の際に農業部門に対して政府が行ってきた支援の規模を強調した翌日に当たる。同相は、農業省を率いてきた期間に、新型コロナウイルスのパンデミック、ウクライナと中東での戦争の影響、洪水、干ばつ、山火事など、自身が「異例の事態」と呼ぶ危機への対応として、政府が総額100億ユーロを拠出してきたと述べた。
プラナス農相の発言は、農業団体Asaja、COAG、Unión de Unionesが10月28日の抗議行動を実施する方針を維持したことを受けたものでもある。同相は、平和的な手段による抗議の権利を尊重すると述べ、スペインの第一次産業が現実の問題に直面していることも認めた。一方で、近年、農業経営を襲ってきた度重なる外部ショックや気候関連事象を踏まえて、政府の実績を評価すべきだと述べた。
同相によると、現在、農業部門には大きな懸念が2つある。1つは共通農業政策の今後をめぐる交渉、もう1つは地政学的紛争を背景とする生産コスト、とりわけ肥料価格の上昇だ。CAPについてプラナス農相は、中央政府、農業団体、国内17自治州の間で共通の立場があると述べた。スペインは欧州委員会に対し、農業予算を十分な規模で確保すること、CAPを完全な欧州共通の枠組みとして維持すること、各国による共同出資を認めないことを求めているという。
生産コストについて、プラナス農相は、これはスペインだけの問題ではなく世界的な課題だと述べた。政府はこれまでにその負担への対応として11億7,400万ユーロを動員しており、同相によれば、その額はドイツの支援の2倍を超え、フランスやイタリアの3倍に当たる。また、2023年、2024年、2025年のスペインの農業所得はEUで首位だったと主張し、コスト上昇や天候による損失に直面しながらも、農業部門が持つ基礎的な回復力を示すものだとした。
10月28日の抗議行動では、主催する3団体が共通の要求を掲げている。生産コスト上昇への緊急対応、農業所得を守る強力なCAP、公正な価格、スペインの食品サプライチェーン法の執行、貿易協定による不公正な競争と団体がみなす状況からの保護、行政負担の軽減を求めている。もう一つの主要農業組合であるUPAは、国政選挙の選挙運動期間中という状況を踏まえ、この動員から距離を置いている。
農業省によると、FEGAは前払いについて、各自治州が請求した金額と実際に支払われた金額を、一般公開されているオンラインポータルで毎週公表し続ける。